龍雲寺禅堂で行う断食|参加者アンケートから見えた“心に残る体験”
- 龍雲寺禅堂スタッフ
- 4月10日
- 読了時間: 4分

龍雲寺禅堂は、静岡県浜松市にある歴史ある禅寺「龍雲寺」の一角に佇む、断食道場です。ここでは一日一食のやさしい断食を通じて、心と体を整えるリトリート型の宿坊体験をご提供しています。
開設から3年以上が経ち、これまでに数千名以上の方がこの場所で断食を体験されました。そのすべての方にお配りしているのが、滞在後のアンケートです。
今回のブログでは、そのアンケートから見えてきた「この場所が選ばれている理由」を、実際の参加者の声を交えながらご紹介していきます。華やかさでも、価格でもない、“心に残る滞在”とはどんなものなのでしょうか?
「なにもしない時間に、はじめて自分が戻ってきた気がしました」
(40代・女性・看護師)
日々、患者さんや同僚、家族のことばかりを考えて生きてきました。ふと「私は誰のために、何をしてるんだろう?」と感じた時、思い切って休みを取り、龍雲寺禅堂に申し込みました。
断食という言葉に最初は少し緊張しましたが、実際の一日一食ファスティングは、想像以上にやさしく、身体の声に耳を傾けられる時間でした。
静かな畳の部屋で、ただ坐っているだけの時間に、こんなに心が整うなんて。ここにはホテルのような贅沢はありませんが、**“自分を思い出す贅沢”**がありました。
「食べないことで、心が満たされていく体験は初めてでした」
(30代・男性・デザイナー)
デスクワーク中心の生活で、つい過食や不摂生が続いていた日々。体調も崩しがちで、「これではまずい」と思っていた頃に、ネットで龍雲寺禅堂を見つけました。
ファスティングと聞いて最初は「耐えるもの」だと思っていたけれど、ここの断食道場で体験したのは、“空腹を静かに楽しむ”という感覚でした。
食べない時間が増えるほど、感覚が研ぎ澄まされて、食べることのありがたさがよくわかる。そして、食べないからこそ気づく「今ここにある豊かさ」に、心が静かに満たされていくのを感じました。
「宿坊って、こんなに優しい空間だったんですね」
(50代・女性・会社役員)
これまで仕事で多くのホテルに宿泊してきましたが、“泊まることが目的になる場所”というのは初めてでした。
龍雲寺禅堂の宿坊は、静かで、清潔で、でも決して気取っていない。スタッフの方々も穏やかで、必要以上に関わらず、でも、必要な時にはそっと寄り添ってくれる。
アメニティも揃っていて、お茶や炭酸水も自由にいただけて、正直「ホテル以上に満たされた」と思っています。この“何もないようで、すべてがある空間”に、また必ず戻ってきたいと感じました。
「何もしない時間が、心と体に染み込んでいきました」
(60代・男性・定年退職後)
定年を迎えて、「これから自分はどう生きていこうか」と考えていた時に、偶然龍雲寺禅堂を知りました。スケジュールがガチガチに決まっているわけではなく、講座も日によって変わると聞いて、「何もしないことを受け入れるリトリート」という言葉に惹かれました。
実際の滞在中、ほとんど時計を見ませんでした。散歩したり、佐鳴湖公園まで歩いたり、静かに坐禅をしたり…。何かを得ようとしなくなった時、自分の中にあった“静けさ”が戻ってきた気がしました。
断食道場というより、“生き直し道場”という感じでした。
「また、来たい場所ができたことが嬉しい」
(30代・女性・保育士)
保育園で子どもたちに囲まれて過ごす毎日、笑顔でいながら、どこか無理をしていた自分に気づいたのは、ここを訪れて2日目の夜でした。
誰かのために頑張ることは素敵だけれど、それが自分をすり減らしていたとしたら、きっと長くは続かない。
そう気づかせてくれたのが、この龍雲寺禅堂での断食リトリートでした。食事を減らすことで心に余白ができて、その余白に静かな気づきが入ってくる。そんな時間でした。
一人で来ても、安心して過ごせたこと。誰とも比べず、自分のために過ごせたこと。ここが「また来たい」と思える場所であることが、今の私の救いです。
選ばれる理由は、“また戻りたくなる”こと
アンケートを読み返すたびに感じるのは、私たちが提供しているのは「非日常」ではなく、「静かに戻れる場所」なのだということです。
それは、豪華なホテルにはない、“何も足さない豊かさ”。ファスティングの効果を求めるのではなく、“自分に戻るための断食”。スケジュールに縛られない自由さが、“暮らしを見つめ直すヒント”になること。
そうした一つ一つの声に、これからも丁寧に応えていきたいと思っています。
最後に
龍雲寺禅堂は、豪華な設備や派手な広告ではなく、「静かな感動」と「また帰ってきたくなる安心感」で支えられてきました。数千人の方がここで断食を体験され、それぞれの“内なる変化”を持ち帰ってくださっています。
断食道場としての原点を大切にしながら、宿坊としてのやすらぎを、リトリートとしての深さを、そしてファスティングを通じた新たな気づきを、これからも大切に育てていきます。
ふと思い出した時、またいつでもお越しください。私たちは、静かに、変わらぬ空気でお待ちしています。
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