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冬こそ快適な宿坊体験──「寒い」と思われがちな季節に、心が一番あたたまる時間を

  • 執筆者の写真: 龍雲寺禅堂スタッフ
    龍雲寺禅堂スタッフ
  • 7 日前
  • 読了時間: 7分
佐鳴湖越しには空気の澄んだ冬には南アルプスや富士山を臨む
佐鳴湖越しには空気の澄んだ冬には南アルプスや富士山を臨む

(取材・文:龍雲寺禅堂スタッフ 前岡)


冬=寒いお寺? そのイメージを少し見直してみませんか


「お寺に泊まる」と聞くと、多くの方がまず思い浮かべるのは“寒さ”ではないでしょうか。木造の本堂、吐く息が白くなる朝の坐禅、畳の上に正座して手を合わせる時間──。テレビなどで修行の様子が映るときも、冬の凛とした寒さが強調されることが多く、「冬のお寺=寒くて厳しい」という印象を持たれがちです。

けれども、実際に龍雲寺禅堂で冬を過ごすと、そのイメージは大きく変わります。むしろ「冬のほうが快適だった」と話す方が少なくありません。その理由は、単に暖かいというだけではなく、

冬にしか味わえない静けさと心地よさがあるからです。

今回は、浜松にある「龍雲寺禅堂」での冬の宿坊体験を、スタッフの視点からレポートします。



浜松の冬は、想像以上にやわらかい


「浜松って、雪が降らないんですか?」と聞かれることがあります。答えは「ほとんど降りません」。静岡県の西部に位置する浜松市は、太平洋からの海風が届きやすく、冬でも温暖な気候が続きます。朝晩の冷え込みはあるものの、日中は風がなければぽかぽかとした陽射しに包まれ、外を歩いても頬に当たる空気が柔らかいのが特徴です。

特に、龍雲寺禅堂がある佐鳴湖のほとりは、風を防ぐ小高い丘に囲まれた穏やかな場所。湖面から反射する冬の光が本堂の瓦屋根を照らし、澄んだ空気とともに「冬なのに明るい」という印象を受けます。雪国の方が訪れると、「同じ日本とは思えない」と驚かれるほどです。



禅堂・本堂は全館暖房完備──“寒さを我慢しない修行”という新しい形


龍雲寺禅堂では、冬の坐禅や法話も安心して参加できます。その理由は、本堂・禅堂ともに全館暖房が完備されているからです。

朝6時に鐘の音が響くと、参加者は静かに本堂へ。外の空気は少しひんやりしていますが、堂内に入るとやわらかな暖気が広がり、畳も足元もほんのり温かい。坐禅中も体が冷えにくく、「冬なのに心地よく集中できる」との声が多く聞かれます。

昔の修行では寒さも修行の一つとされましたが、現代では体調を崩さずに心を整えることが大切です。冷えを我慢するより、温かさの中で集中する方が深い瞑想状態に入れる──そんな現代的な修行環境を整えています。



各部屋にお風呂完備──「冷えた身体を自分のペースで温められる」安心感


「宿坊」と聞くと、大浴場での共同入浴をイメージされる方も多いかもしれません。しかし龍雲寺禅堂では、すべての宿泊部屋に専用のお風呂が備わっています

湯船に浸かるまでの時間も短く、温度管理も自分のペースで行えます。

断食や坐禅の後に、静かな自室でお湯を張り、誰にも気を遣わずに湯船に浸かる──そのひとときは、まさに“心の湯治”と呼べる時間です。湯上がりには、ほんのりと温まった身体で布団に入り、窓の外の月明かりを眺めながら静かに眠る。これも冬の宿坊ならではの贅沢かもしれません。



冬こそ“心が調う”──冷えではなく、澄んだ静けさの中で


冬の朝の空気には、独特の透明感があります。禅堂の扉を開けた瞬間、頬に触れる冷気が、むしろ心を覚醒させてくれるようです。鐘の音が静かに響き、蝋燭の灯りに照らされた空間の中で、呼吸が一つ一つ深まっていく。寒さを恐れるどころか、その「凛とした空気」によって集中力が研ぎ澄まされる──それが冬の禅堂の魅力です。

実際、脳科学的にも「適度に冷えた環境では集中力が高まりやすい」ことが報告されています(出典:The Journal of Environmental Psychology, 2018)。

暑さでぼんやりする夏よりも、冬の方が思考がクリアになりやすい。この“冬の静けさ”は、坐禅や読経にとって理想的な環境なのです。



温もりを感じる宿坊──設備ではなく“人のあたたかさ”


龍雲寺禅堂の冬の魅力は、設備面だけではありません。スタッフや僧侶が自然と声をかけてくれる、そんな“心の温度”が高い場所でもあります。

朝の法話のあと、住職が笑顔で「寒くないですか?」と一言。その短い会話が、なぜか胸にじんと響くのです。お茶の差し入れ、毛布の貸し出し、梅湯の温もり──どれも小さな心配りですが、その積み重ねが「冬でも安心して滞在できる宿坊」としての信頼につながっています。 住職の厳しくとも相手に迎合しない優しい言葉に気づくことができるはずです。



女性にも人気の理由──冷えへの配慮と安心設計


冬の宿坊と聞くと、女性にとっては「寒そう」「冷えそう」という不安が先に立つもの。しかし龍雲寺禅堂では、暖房の行き届いた本堂・禅堂に加え、個室での入浴・休息ができる点が大きな安心材料です。夜間も自室で温かい飲み物を楽しめるようポットが用意されており、体調に合わせて無理のない過ごし方ができます。

また、女性専用の宿泊棟もあり、プライバシーと静けさが両立。「冬なのに快適」「部屋が思ったより暖かくて驚いた」といった声が多く寄せられています。



冬の食──体を冷やさない精進料理と“梅湯”の温もり


断食プログラムに参加している方には、朝の梅湯や精進料理が提供されます。湯気の立つ一杯を手に持つだけで、身体の内側からじんわりと温まるのを感じます。香ばしい味噌の香りが鼻をくすぐり、冷え切った指先がほぐれていく──。冬は食のありがたみを一層深く感じる季節でもあります。

食を減らして“感謝”を増やす。それが、断食を伴う宿坊体験の本質です。特に冬は、冷えを防ぐために体が自然と“代謝を上げようとする”ため、少食でも心地よい温かさが続きます。



宿泊環境──静かに、そして自由に過ごす冬時間


各部屋にはWi-Fiが備わっており、仕事や読書をする方も多く見られます。外の風景を眺めながら、ノートを開き、自分の考えを整理する。冬の午後の日差しがやさしく差し込み、時間がゆっくりと流れていきます。

「禅堂=修行」というイメージに縛られず、“整える滞在”として過ごす方も増えています。リモートワーク中の休暇を兼ねたワーケーション利用や、年末年始に心をリセットしたい方の滞在も多い季節です。



冬に宿坊へ行くメリット──静けさと満足度の高さ


冬の宿坊には、実は多くの“特典”があります。

  1. 静かで集中できる 夏や春に比べて宿泊者が少なく、読経・坐禅に集中できる。

  2. 空気が澄んでいる 雑念を洗い流すような冷たく透明な空気。呼吸が深くなりやすい。

  3. 宿泊満足度が高い 「寒さを覚悟して来たのに、想像以上に快適だった」という驚き。


龍雲寺禅堂の内部アンケートでも、「冬に泊まって良かった」と答えた方は全体の87%。中には「冬にしか来たくない」と話す常連の方もいます。



体験者の声

「寒い覚悟で来たのに、部屋も本堂も暖かくて驚きました。朝の坐禅が気持ちよくて、いつもより長く座っていられました。」(50代・女性)
「湖の朝霧が美しくて、まるで映画のようでした。冬の静けさって贅沢ですね。」(30代・男性)
「一人で過ごす時間がこんなに豊かだと思いませんでした。冷たさよりも、心の温かさを感じる滞在でした。」(40代・女性)


アクセスと過ごし方のヒント


浜松駅からは車で約15分、東京・大阪からは新幹線で1時間半ほど。 朝の坐禅、日中の仕事や散歩、夜の静かな法話──。冬の短い日照時間が、むしろ一日を濃くしてくれる感覚があります。

服装は、厚手のセーターよりも重ね着スタイルが快適です。坐禅中は暖房が効いていても体を動かさないため、膝掛けなどがあると安心です。



まとめ──冬こそ「心が温まる」季節に


冬の宿坊というと、寒さや厳しさを想像して敬遠されがちです。しかし、龍雲寺禅堂の冬は「寒くない」「静か」「心が温まる」。その三拍子がそろった、まさに“整う季節”です。

雪のない浜松、全館暖房の禅堂、各部屋の温かな湯船。そして何より、そこに流れる人のやさしさと時間のゆるやかさ。

寒い冬こそ、あたたかい心を取り戻す旅へ。ぜひ一度、冬の龍雲寺禅堂に足を運んでみてください。



参考文献・出典

  • The Journal of Environmental Psychology (2018): Thermal environment and cognitive performance

  • 気象庁「浜松市の平均気温データ(過去10年)」

  • 龍雲寺禅堂 宿泊者アンケート(2024年冬期集計)

 
 
 

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